図書館からのお知らせ

【開催報告】

信州発・これからの図書館フォーラム第16弾 in 小諸「“わたしたちの図書館”をめざして」

第2回

『意思』のある図書館運営とは

ー鹿児島県指宿市立図書館の事例をもとにー

■日 時: 平成30年8月12日(日)13:30ー16:00

■会 場: 小諸市市民交流センターこもろプラザ2階 ステラホール

■参加者: 55名

■プログラム

第1部 講演

  • 下吹越(しもひごし) かおる氏

(特定非営利活動法人 本と人とをつなぐ「そらまめの会」理事長・鹿児島県指宿市立指宿図書館館長)

第2部 みんなで話そう

■主催/共催: 県立長野図書館/市立小諸図書館


※詳しい内容は、下記の告知記事をご参照ください。

(H30.7.28掲載)信州発・これからの図書館フォーラム第16弾「”わたしたちの図書館”をめざして【第2回】『意思』のある図書館運営とは」

当日の概要

開催趣旨説明・前回フォーラム振り返り:平賀研也(県立長野図書館長)

図書館職員の85%を非常勤職員が占め勤務年数が限られる長野県内自治体の現状では、図書館運営の継続性を保持することは難しい。前回のフォーラムではアカデミック・リソースガイドの岡本真氏より、昨今のPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)の進展の事例をあげつつ、財政難に直面する自治体において、これまでのようなボランティアを中核にした市民との連携・協働では立ちいかず、ビジネスの視点が不可欠とのご指摘があった。また、松本大学伊東直登教授からは、海外における予算・人事権を持ったライブラリー・ボード(図書館運営委員会)の事例の紹介があり、図書館経営における住民自治の重要性が語られた。

市立小諸図書館の現状説明:小泉重好氏(市立小諸図書館長)

新図書館計画以来7年にわたり市民との対話と協働により検討が進められ、その中から共に図書館運営を担う現在の職員体制が構築されてきた。しかし、開館から2年経過した今、非常勤職員体制では過去に蓄積された運営のあり方を持続することは難しいと判断し、図書館協議会に対して指定管理や業務委託を含めた運営体制の検討を諮問した。この結果、この度一部業務委託の方向性が決まり、教育委員会及び議会への説明・検討に進んでいるという経緯説明があった。

講演:「意思のある図書館運営とは」下吹越かおる氏(特定非営利活動法人 本と人とをつなぐ「そらまめの会」理事長・鹿児島県指宿市立指宿図書館館長)

鹿児島県は、椋鳩十県立図書館長の朝の音読活動など図書館活動の歴史ある県である。市町村合併の後、指宿市立図書館3館が2館体制となり「町から図書館がなくなる」という経験をした。

【私たちは一市民であり一利用者だった】

市からの支援要請を受けて、専門知識を持った市民が学校や公共図書館でボランティアとして活動を始めたが、図書館を運営する当事者に図書館への思いがあるとは限らない状況であった。

そんな中、議会・市により指定管理の導入が決まった。

【ソーシャル・ビジネスへの期待】

地域外の専業者に任せるか、地域に根ざした図書館にするために自分たちで運営するか迷うところであったが、市内のNPOや団体からの「手伝うよ」「やりましょう」との声に押され、NPO法人「本と人とをつなぐ『そらまめの会』」を立ち上げ指定管理受託者となった。

【図書館は民主主義の扉である】

指定管理受託者となった後、地域課題の一つ一つと向き合ってきた。図書館のプロであるという意識を持ち、全員が成果も考えながら取り組んできた。一方で、行政との関係も、管理者によっては、上意下達・下請け管理意識で、必ずしも業務範囲と言えない仕事が降ってきたり、図書館運営の方針を決める協議会の場に出席を認められないようなこともあったが、現在は対等な立場で論議し業務に当たることができている。違いをリスペクトし「巻き込む」共生協働の意識でやりたいことを実現しようとしている。

図書館は民主主義の扉であり、地域に住む人々がどんな図書館であるべきかを考えられるようでありたい。

 

○配布資料:「指定管理者としての図書館運営について」(下吹越かおる氏)(PDF 259KB)

(※本資料の改変・再配布はご遠慮ください。)

第2部 みんなで話そう

会場の参加者の皆様から休憩時間中にご記入いただいた感想や質問などをもとに、下吹越館長、小泉館長(市立小諸図書館)から平賀がお話をお聞きする時間となりました。その中での下吹越館長の以下のような言葉がとても印象的でした。

「地域の人々の居場所、排除するのではなく受け止めるサードプレイスとしての図書館になりたい」

「図書館運営は単にノウ・ハウの問題ではなく経営すること、意思決定することの積み重ねであること」

「市民が何を望むのか一緒に考えるためにも、行政と共にどんな図書館にしていきたいか考えるためにも、伝わらなければ伝えたことにならない」

「同じ気持ち、近いスタンスの人と働くことにより、人数が少なくとも、様々な人と出会える図書館はすごく楽しいのだと思える。

諸人のまことのつもる船なれば行くも帰るも神や守るらむー西郷隆盛」

 

次回の予定(全3回となります)

 

第3回(最終回) 平成30年10月21日(日)

「わたしたちの図書館」をめざしてー「市民」が図書館をつくるということー

(※会場、時間は同じです。)


お問合せ

県立長野図書館企画協力課(TEL:026-228-4939)〔月曜休館〕

市立小諸図書館(TEL:0267-22-1019)〔木曜休館〕


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