2019年11月22日
台風19号浸水被害による千曲市立更埴図書館の水濡れ資料(カビ発生)の対応について
台風19号浸水被害による千曲市立更埴図書館の
水濡れ資料(カビ発生)への対応について
先日の台風19号により浸水被害を受けた千曲市立更埴図書館から、水濡れした資料にカビが発生してしているとの相談があり、当館職員が処置のためお伺いしてきました。(2019年11月13日,14日訪問)
1.状況
床上浸水7.5cmとのことで、大規模な被害は免れたものの、児童書を中心に数百冊が水濡れが原因で廃棄になった。しかし、郷土資料については配架していた書架の袴部分の水濡れで済んだことから、児童書にくらべると資料本体への被害は軽度におさまった。
各資料はブックコートフィルムが施されていたことで全体への吸水が防がれた反面、乾燥を阻むことにもなってしまい、浸水から1ヶ月経ってカビの発生となった。
2.対象
水濡れしたが、今後も保存していきたい郷土資料 約20冊
3.持参したもの
- 加水エタノール
- 無水エタノール
- 不織布
- ラベルはがし
- 締め機、締め板、重石
- 霧吹き
- カッター
- ピンセット
4.行ったこと
エタノールを使用してカビの除去(本の消毒)を行い、ペーパータオルで乾燥させながら、締め機や重石を使って水濡れによる本の歪みの修正を試みた
(1)書架の下段の資料が水を吸い上げてしまい、乾燥させている途中でカビが発生。
(2)ブックコートフィルムの下で発生しているカビ
(3)フィルムをはがして、エタノールによる消毒を行う。
(4)カビで固着してしまったページ
5.今後
締め機一式はお預けしたので、更埴図書館スタッフの方々で歪みの修正は行っていただく。また、引き続きカビの発生に注意しながら、乾燥作業を進めていただく。折を見て、再度訪問させていただく予定。
6.参考資料
今回対応するにあたって下記のサイト・資料を参考にさせていただきました。
- 「カビが発生した資料をクリーニングする」(国立国会図書館)
https://www.ndl.go.jp/jp/preservation/manual/manual_mold.html - 「水にぬれた資料を乾燥させる」(国立国会図書館)
https://www.ndl.go.jp/jp/preservation/manual/manual_drying.html - 「カビが発生したら」(東京都立中央図書館)
https://www.library.metro.tokyo.jp/guide/uploads/15ac3.pdf
7.これまでの状況
「台風19号による県内図書館の被害等状況(11/2 15:00追記)」(当館HPお知らせ)/static/osirase_191013-2
【お問合せ】資料情報課(TEL:026-228-4921)